科学研究費補助金基盤研究(A)(1) 平成15-18年度 課題番号15201040科学研究費補助金 基盤研究(A)(1) 平成15-18年度 課題番号15201040 古代・中世の全地震史料の校訂・電子化と国際標準震度データベース構築に関する研究
古代・中世の全地震史料の校訂・電子化と国際標準震度データベース構築に関する研究
 
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研究計画の詳しい内容
公開討論会
内部資料
Since Dec.8,2003
 研究代表者
石橋 克彦〔神戸大学都市安全研究センター〕地震学・史料地震学
 配分(内定)額
 配分(予定)額
平成15年度直接経費   9,700
間接経費   2,910
平成16年度直接経費   8,000
間接経費   2,400
平成17年度直接経費   6,700
間接経費   2,010
平成18年度2,300
直接経費  26,700
間接経費   7,320
総計34,020
         (単位:千円)
 研究目的
▼科学研究費の交付を希望する期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか
過去の地震と地震災害の研究は,膨大な地震史料(地震の体験や被害などを記した古記録・古文書等)のうえに成り立っている。明治以来,日本のほとんどの地震史料が収集され,地震記事の部分が抜粋・編纂されて地震史料集として公刊されており,当該研究の根本データになっている。しかし,既存の地震史料集は,データの信頼性と利用し易さの点で深刻な問題を抱えている。本研究は,これを抜本的に改善するために,古代・中世に関して以下の1〜3の具体的成果物を創出する。それと同時に,高品質で高度な地震史料データベースを作製する方法論と,国際標準仕様震度データベースの概念・構築手法を,一般論として明らかにする

1.玉石混淆である古代・中世の全地震史料を吟味・精選・校訂・再編集した,信頼性の高い地震史料集。
 既存の地震史料集では,多種多様な地震史料の素性・性格の吟味がまったくなされていないために,信頼性の低い史料や地震記事が混在して,誤った結論を導く原因ともなっている。このような既刊史料集の全記事を,古代・中世史学によって検討し,史料の選別・校訂・配列替えなどをおこなう。新史料も加える。火山関係の記事もある程度含まれているので,それらも吟味の対象にする。

2.前項を電子化して高度の検索機能を付した地震史料デジタルデータベース。
 既存の地震史料集は膨大な印刷物だけであり,基礎データとしては使い勝手が極めて悪く (検索の困難さなど),高度な歴史地震研究や地震対策に活用できなかった。これを根本的に改善するために,全地震史料を電子化し,高度な検索が可能なデータベースにする。

3.地震・地震災害研究の多様な目的に活用できて世界にも通用する国際標準仕様震度データベース。
 古代・中世に限定したものではあるが,地点・時間(年月日時刻)・震度・揺れの性質・震度判定根拠・出典などを要素として縦横に検索が可能なデータベースを作る。ヨーロッパを中心として国際的に標準化しつつある Intensity Data Point (IDP) の構造を含むものにして,世界の学界にも提供する。

なお,本研究の対象を古代・中世(1600年頃まで)に限定する理由は,近世の地震史料はやや異質かつ極度に多量で将来事業的に扱ったほうがよいこと,地震史料がある程度限定されている古代・中世は,本研究が目指す方法論・手法を開発・確立して具体的成果物として示すのに適当であること,などによる。
▼当該分野におけるこの研究(計画)の学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義
○学術的な特色・独創的な点
・地震災害科学の最重要データの一つである地震史料に対して,(1)明治の史料収集開始以来初めて品質・信頼性を組織的に問題にして全面的な史料批判を加え,(2)初めて古代・中世という長期間の全史料を電子化する。それによって飛躍的に高品質・高性能な地震史料データベースを作ることが,画期的な特色である。
・日本で初めて高度な震度データベースを構築し,しかもIDPという国際標準のものと互換にしようとすることも大きな特色であり,先進的な点である。
・この分野で本来的に望ましい歴史研究者と地震・火山研究者の学際協力を本格的に実現しようとしていることも,重要な学術的特色である。
○予想される結果と意義
 古代・中世の地震史料と震度の高水準データベースが作製され,近世にも適用できるデータベース構築手法が示されて,地震と地震災害の研究や地震防災の実務に大きく貢献する。また,歴史地震の研究と応用に飛躍的な質的転換をもたらすこと,歴史研究者と地震・火山研究者の学際協力や歴史地震研究の国際化を促進することが期待される。このように本研究は,日本の歴史地震研究にとって,明治以来3回の地震史料集編纂・刊行にも匹敵する基盤的意義があると考えられる。
▼国内外の関連する研究の中での当該研究の位置づけ
 本研究は,国内外を問わず地震災害科学の重要な一翼を担う歴史地震研究において,日本での根本的基盤をなすものである。本研究(かそれに代わるもの;ただし代わるものは現在見当たらない)が実施されるか否かによって,日本の歴史地震研究の将来が決定的に左右されるといっても過言ではない。
 歴史地震研究は,本来,歴史科学と地震科学の学際領域であり,高度な文献史学的方法と地震学的方法を併用する必要がある。ところが従来の歴史地震研究は,理学の研究者のみが,史料批判を伴わない地震史料の収集・刊行と解釈をおこなうことがほとんどであり,その結果,地震史料集には問題が多く,研究結果にも誤りが混在していた。また,日本列島の歴史地震研究もグローバルな地震研究の一環であるという国際的な認識が薄く,世界から孤立していた。本研究は,このような日本の歴史地震研究に新風を吹き込むものでもある。
 国際的には,最近ヨーロッパを中心に歴史地震研究の国際協力が進み,標準的な震度データベース Intensity Data Point (IDP) の普及などが顕著である。平成14年7月には初の国際ワークショップがイタリアで開かれ,研究代表者・石橋と分担者・佐竹が招待された。本研究は,このような国際的な歴史地震研究の動向に沿うと同時に,史料の豊富さなどによる日本独自の方法論を世界に提供して,国際的な研究の発展に資するものである。
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