[古代・中世] 地震・噴火史料データベース (β版)
[古代・中世] 地震・噴火史料データベース (β版)   Since Jun.15,2009
   
 
ご注意:このデータベースはβ版であり、まだ修正作業中で、不定期に
更新されます。論文等でご利用くださる場合は、本文中や
文献欄などに右記の最終更新日を明記されることをお薦めします。
 
最終更新日
著 者古代中世地震史料研究会
 はじめに
1. このデータベースの作成にあたっては、以下の既刊地震史料集を参照しました。
文部省震災予防評議会,1941,増訂大日本地震史料,第1巻,文部省震災予防評議会,945pp.(復刻版,鳴鳳社,1975)
東京大学地震研究所(編),1981,1982,1989,1993,新収日本地震史料,第1,2巻,補遺,続補遺,東京大学地震研究所,193pp.,575pp.,1222pp.,1043pp.
宇佐美龍夫(編),1998,1999,2002,2005,2008,「日本の歴史地震史料」拾遺,同別巻,同拾遺二,同拾遺三,同拾遺四ノ上,512pp.,1045pp.,583pp.,814pp.,1132pp.
2. 特に上記の第一のもの(武者金吉氏が編纂したので『武者史料』と呼ばれる)が日本の歴史地震研究の基本資料となってきたことに鑑み、その内容を尊重し、踏襲しました。例えば、地震と火山噴火以外の現象は、『武者史料』に掲載されているものを収録しました。(なお、日本国内の出来事に限定)
3. その意味で、本データベースは基本的に『武者史料』を増補してデータベース化したものといえますが、史料の校訂をほどこした結果、内容はかなり改訂されています。
4. 未刊の地震史料を積極的に収集することはしていませんが、気が付いた新史料を若干補充しました。
 構成
1. このデータベースでは、個々の地震・噴火などを「事象」と呼び、ひとつの事象に関する情報の集合を「事象レコード」と呼びます。
2. このデータベースは、3002の事象レコードから構成されています。
3. 各事象は、閲覧検索画面の一覧表に表示されます。1事象につき1行で、以下の項目から成ります。
・選択ボックス:事象を選択するためのボックス.
・事象番号:事象に固有の番号(8桁の数字が基本).
・事象日:事象が発生した年月日(和暦、ユリウス暦、グレゴリオ暦を選択可能).
・種別:事象の種類(地震、噴火、鳴動、その他).
・綱文:事象の概要(新たに執筆したもので武者史料とは異なる;途中までしか表示されない場合が多いが、【史料本文表示】で全文が示される). ●現在、修正作業中
・史料数:事象を記述した史料の数(*印は、史料本文に注記があることを示す).
4. 一覧表の事象番号をクリックすると、別ウィンドウで【史料本文表示】が現われます。そこでは、事象番号・種別・事象日・綱文全文・史料群が表示されます。
史料群は、史料等級+史料名+史料本文を史料の1単位として、それが史料数だけ示されます。
史料名の後に、史料本文の確認に用いた刊本等を示しています。
史料等級は、史料学的検討にもとづいて全史料に付したもので、以下のとおりです。詳細はこちら(史料等級について)をご覧ください。
A:基本史料(同時代史料).
B:参考史料(主として近世までに成立した史料).
C:主として明治以降に書かれた文献.
D:史料としては使えず削除すべきもの.
E:保留史料(信頼性がまだ確認できていない史料).
※等級Dのものは、本データベースでは一切表示されません。
 使い方
○一覧表の閲覧
1. 閲覧検索画面に初めてアクセスすると、一覧表は標準モード(3.を参照)で、地震と噴火の全2520事象のうちの最初の10事象(10行)が古い順に表示されています。
2. 「一覧表の条件」で、チェックボックスやラジオボタンで選択したのち「表示更新」ボタンを押すと、希望する一覧表に変わります。
2回目以降は、前回終了時の一覧表が表示されます。
なお、綱文の表示文字数の選択は、ユーザの画面サイズに適応するために用意したものです。
3. 標準モードは、 史料等級がAとBの史料にもとづく事象のみを表示します。
等級CとEの史料や、それらのみにもとづく事象をご覧になりたい方のために、エキスパートモードを用意しました。ただし、等級CとEの史料は信頼性が不確実であることと、それらのみにもとづく事象は実在が疑問であることに、十分注意してください。
(エキスパートモードを選択すると警告ウィンドウが現われます)
4. 一覧表の上部と下部にあるPage番号をクリックすると、そのページにジャンプします。
また、Pageをクリックすることにより、任意のページを入力してジャンプすることができます。
5. 項目名の横にある ▲▼ をクリックすると、ソート順(昇順/降順)を切り替えることができます。
○検索
1. このデータベースは、年月日や文字列で検索ができます。
2. 「検索範囲(西暦年月日)」は、一覧表に抽出したい西暦年月日の範囲を数字で指定します。
(年まで、または月まで、も可)
3. 文字列による検索は、複数の文字列のor検索、and検索、およびそれらの組み合わせが可能です。
○史料本文の閲覧
1. 一覧表の選択ボックスで複数の事象を選択して「史料本文表示」ボタンを押すと、一つの別ウィンドウの中に、選択した全事象の【史料本文表示】が連続して示されます。
一つの事象の【史料本文表示】は、一覧表の事象番号をクリックすることによっても可能です。
2. 「表示全事象の選択」ボタンを押すと、一覧表に現われている事象すべてが選択されます。
3. 選択した事象をすべて解除する場合には、「選択事象のクリア」ボタンを押します。
4. 標準モードの【史料本文表示】では、史料等級AとBの史料だけが表示されます。
エキスパートモードの【史料本文表示】では、史料等級CとEの史料も表示されます。
このとき、等級CとEの史料のみにもとづく事象については、見出しに「●実在疑問」と表示されます。
5. 史料本文表示のウィンドウを次々に新しく開くかどうかや、本文表示形式が選択できます。
6. 史料名はすべて新字を用いていますが、史料本文には旧字・外字・異体字が含まれています。それらをどのように表示するかも選択できます。詳しくはこちら(本データベースで利用している文字について)をご覧ください。
7. 1582年以前の西暦はユリウス暦を用いることが推奨されます。暦についてはこちら(暦について)をご覧ください。
8. 噴火事象の綱文中のMを冠した数字は、噴火の規模を表わす「噴火マグニチュード」です。それは噴出物の質量の常用対数から求められ、1ギガトンがM5.0になります。
9. 史料名は、『武者史料』では異名同書や同名異書がかなり見られますが、本データベースでは史料ごとに一つの名称に統一しています。史料名および史料等級に関してはこちら(史料名、史料等級について)をご覧ください。
10. 史料本文は、信用できる刊本(ない場合は写本)にあたって、それらの原文どおりに掲載しています。原文の割り注などを忠実に反映するとともに、日付に年月を注記するなどのために、記号や色による表示法を使っています。
 補足
1. 本データベースのテキストで利用している文字セットはShift-JISです。
2. Shift-JIS外の文字については、文字鏡研究会『今昔文字鏡』が定義している「文字鏡番号」をXMLの実体参照形式で記述し、検索結果の表示には「文字鏡GIFリンクシステム」による24ドットGIF画像を利用しています。GIF画像を表示した場合、文字間、行間等に不統一が生じることがあります。
3. 史料本文で漢字を記述する際の字体の新旧、略字の利用、異体字の採否などについては、原則として今回のデータベース構築で参照したそれぞれの典拠に従っていますが、校訂者の判断によって適宜改めました。また、Shift-JIS外の文字で包摂可能な字形については、おおむね包摂字形をデータ中に併記してあり、表示を切り替えることができます。
4. 上記の仕様から、現状では文字列による検索について必ずしも検索された方の意図どおりの結果とならない場合があります。あらかじめご承知ください。今後、可能な限り改善を図りたいと考えています。
 『武者史料』他の地震史料集が採用している史料名は、長年にわたって編纂が続けられてきたこともあって、統一されていない場合があり、歴史を専門としない研究者が利用する際に混乱を生じる原因になっていました。本データベース構築に当たっては、史料名については可能な限り統一を図り、本データベースから典拠となる刊本や原史料への参照を容易にすることに努めました。
 主な方針は以下のとおりです。
1. 江戸時代以前の史料名は、原則として大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国文学研究資料館『日本古典籍総合目録』データベースが採用する統一書名によったが、一部、広く通用している史料名を採用した場合がある。
2. 『日本古典籍総合目録』に収録されない史料については、当該史料を掲載した刊本や史料の翻刻者が付した名称を採用した。
3. 史料名や刊本の書名の記述は、原則として現行通用の文字によった。
4. 史料名と典拠とした刊本のリストは準備中です。
 本データベース構築に当たって、史料の信頼性を評価する簡便な指標として等級付けを試みました。等級付けのおおまかな考え方は以下に説明するとおりですが、これは史料自体について検討したもので、そこに記述されている地震や噴火の実否や記述内容の妥当性を評価したものではありません。史料の内容については今後研究が進められるべきです。
古代・中世に発生した地震・噴火について記述のある同時代の記録・文書または古代・中世の編纂物で根拠のある記録等に基づいて作成されたと判断されるもの。
おおむね江戸時代以前に作成された記録・文書・典籍で古代・中世の地震・噴火について言及しており、適切な史料批判を行うことによって、研究に活用できると判断されるもの。
明治時代以降に作成・刊行された記録・文書等。一部に理学的な調査報告書等を含んでいる。
明治時代以降現代に至るまでに作成された書籍等で、多くは根拠となる史料のない言及のみを記述したもの。本データベースにはデータとして採用していない。
史料として評価するべきではあるが、典拠となる刊本や原史料の所在が未詳で、現段階では等級付けができないもの。
 武者史料に記載された地震と噴火の日付は、その巻頭の例言に「1582年まではユリウス暦、1583年以降はグレゴリオ暦を以て表わされて居る」と書いてあるにもかかわらず、実際にはすべての日付が1582年以前もグレゴリオ暦に換算されています。つまり、何らかの手違いによって、この例言は内容を正しく表わしていません。
 グレゴリオ暦の利点は、地球の公転軌道上の位置(すなわち季節)の厳密性が高いことですが、東洋もふくめた世界のほとんどの国において、1582年以前におきた地震・火山噴火がユリウス暦で記述される中で、日本だけが世界標準と外れた暦表記法をとり続けるメリットはほとんどありません。巨大地震のゆれや津波、巨大噴火の火山灰は国境をやすやすと越えるので、今後の研究の発展や国際協力のためには、日本旧来の暦表記慣行を捨てて、世界標準に改める必要があります。1582年の改暦以前に起きた歴史地震・津波・噴火の日付にグレゴリオ暦を適用することは避けるべきです(参考文献1参考文献2)。
 この考えに従い、本データベースの初期設定では、1582年以前の地震日付にユリウス暦を用いています。ただし、ユーザの必要に応じてグレゴリオ暦に変換する操作が行えるようになっています。なお、本データベース中で示される西暦日付には一部に疑義のあるものがあり、今後確認できしだい修正される予定です。
 なおデータベース一覧に表示する和暦元号は、改元日に厳密に従って決定しました。嘉承三年が改元されて天仁元年になったのは八月三日ですから、その年の七月二十一日は嘉承三年と表記します。ただし史料本文では、原史料に従って表記しました。嘉承三年と天仁元年が同居していますが、同じ年を意味します。
 
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