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2011年東北地方太平洋沖地震による「原発震災」について
On the "Genpatsu-Shinsai" (Quake and Nuke Disaster Complex) due to
the 2011 off-Pacific-coast-of-Tohoku, Japan, earthquake

石橋克彦(神戸大学名誉教授)
最終更新日:2012年1月26日
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◆ 2011年3月15日
 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(M9.0)で亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被災された膨大な皆様に心からお見舞いを申し上げます。そして、一人でも多くの方が救出されることを切に願っております。

 激甚な地震津波災害のうえに、東京電力福島第一原子力発電所で重大な事故が発生し、かなりの放射能が漏出して多くの住民が避難を強いられていることは、痛恨の極みです。
 私は、大地震によってこのような事態が生ずることを憂慮し、1997年から警鐘を鳴らしてきましたが、こんなに早く懸念が現実化してしまうとは思いませんでした。

 今は、東京電力・協力企業、政府、地元自治体、消防・警察、自衛隊、国際的な援助チームの関係者のご奮闘により、一刻も早く危機を脱して最悪の事態が回避され、住民の被曝と不自由な生活が最小限に抑えられることを祈るばかりです。

 私がこれまで書いたり話したりしてきたことは、今の緊急事態に役立つことではないのですが、私が願っていたことを少しずつ纏めておきたい気がしてきました。幸いに危機的状況を脱することができたら、今後の日本社会をより安全に復興するために多少は参考にしていただけるかもしれないとも思います。まずは3点をアップします。
「原発震災」の原典: 原発が地震で大事故を起こす恐れは1970年代から指摘されていますが、私は震災論の立場から「原発震災」という言葉・概念を下記で提唱し、震災軽減の重要な一環としてその回避を訴えました。細かい点は古いですが、基本的コンセプトは今も通用すると思います。
  石橋克彦:「原発震災−破滅を避けるために」
    『科学』(岩波書店) Vol.67, No.10 (1997年10月号) に掲載
2007年新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発の被災の後に書いた下記では、「(地震活動期の)日本の海岸線を縁取る(中略)原発の地震被害が日常的風景になるといってもよい」として、地震列島における原発依存は、原発震災以外にも、電力供給危機の長期継続といった地震リスクを抱えていることを指摘しました。
  石橋克彦:「原発に頼れない地震列島」
    『都市問題』(東京市政調査会) Vol.99, No.8 (2008年8月号) に掲載
石橋克彦:「迫り来る大地震活動期は未曾有の国難−技術的防災から国土政策・社会経済システムの根本的変革へ−」
  第162回国会衆議院予算委員会公聴会(2005年2月23日)で公述
  『人間家族』(スタジオ・リーフ)2005年3・4月号(通算345号)に掲載
(時間が30分に限られていたとはいえ、東日本への目配りが薄かったことは反省しています)
◆ 2011年3月18日追加
Ishibashi, K., 2003, Genpatsu-Shinsai: Catastrophic Multiple Disaster of Earthquake and Quake-induced Nuclear Accident Anticipated in the Japanese Islands
Presented in Session JSP11 (Geophysical Risk and Vulnerability: The Population-Hazard Interaction) in the 23rd. General Assembly of IUGG (the International Union of Geodesy and Geophysics), 2003, Sapporo, Japan
石橋克彦:「原発震災:日本列島で懸念される、地震と地震による核事故とが複合する破局的災害」 第23回IUGG総会(2003年7月7日/札幌)で講演
◆ 2011年5月22日追加
 4月26日(火)に、参議院議員会館の緊急院内集会「『福島原発震災』後の日本の原子力政策を考える」で講演をしました。そのときのスライドをアップしました。
◆ 2011年5月23〜24日追加
 本日午後、参議院行政監視委員会に参考人として出席して意見を述べました。そのとき配布した「地震付き原発」の漫画をとりあえずアップしておきます。(23日)
 上記以外の配付資料は以下のとおりです (資料2は『科学』11年5月号の石橋論文;省略)。 (24日追記)
    レジュメ  資料1  資料3  資料4と4追加  資料5  資料6  資料7
 第177回国会参議院行政監視委員会(第4回)のビデオはこちらから選択してください。
◆ 2011年11月13日追加
 10月28日に関西電力が、大飯原発3号機の「安全性に関する総合評価(ストレステスト)」の一次評価の結果を原子力安全・保安院に報告しました。それに関する論評を共同通信社の「識者評論」に書きました。11月2日に地方新聞社等の加盟各社に配信され、神戸新聞4日付朝刊、福井新聞13日付朝刊に掲載されました(他は把握していません。なお、見出しは各社独自です)。
(原稿中の「耐性評価」「コンピューター」「改定」(改訂ではなく)は共同通信社の表記法に従っています)
◆ 2011年12月1日追加
 11月29日(火)に、日本記者クラブのシリーズ企画「3.11大震災」の一つとして、「南海トラフ巨大地震と糸静線大地震が連動する可能性」というタイトルで記者会見(講演)をしました。
  → http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2011/11/r00023552/
 10月の日本地震学会2011年度秋季大会で発表した話を中心にという依頼を受けたもので、原発の話ではありませんが、質疑の最後に高速増殖炉「もんじゅ」と高レベル放射性廃棄物地層処分に関する質問があり、答えています。
 会見の動画(1時間50分)がYoutubeの日本記者クラブ専用チャンネルにアップされています。
  →http://www.youtube.com/user/jnpc#p/u/1/qJCGDuSOsTc
 2月1日頃に下記の本が発売される予定です。昨年中に出したかったのですが、すっかり遅くなってしまいました。
  
石橋克彦『原発震災─警鐘の軌跡』七つ森書館
  
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